SENIOR RESIDENT専門研修

 順天堂大学医学部附属浦安病院
内科専門研修プログラム-脳神経内科-

 

 

 

研修医の先生へ

     高齢者の増加とともに、脳梗塞、神経変性疾患、認知症の患者さんの増加をきたす時代になりました。これらの時代背景から神経内科医の
    需要が増大しています。当院は日本神経学会の教育施設、日本脳卒中学会の研修教育病院として認定されています。

     2年間の臨床研修の後、本院の脳神経内科に入局していただき、神経放射線、神経病理、脳波、筋電図などの、より専門的なトレーニングを
    受ける機会もあります。その後、大学院に入り、neuroscienceを基盤とした基礎的な研究を志望する者もいます。詳細は順天堂本院脳神経内科の
    ホームページをご参照ください。

     当科に所属後は、内科認定医および神経内科専門医、あるいは博士号取得まで責任を持って研修教育にあたります。また別途、オープンな
    見学や短期研修、前期研修、後期研修(3年次以降)、大学院、専攻生、有給助手(スタッフになる)などのコースを用意してあります。

パーキンソン病の特殊治療 デュオドーパについて

     パーキンソン病は治療経過において、治療の難しいさまざまな症状が出現することがあります。
    治療開始当初は、お薬の効果があり、うまく症状をコントロールすることができます(ハネムーン期)。しかし、治療期間が長くなってくると、
    お薬はよく効くものの、効果が長続きせずに3~4時間おきに内服をしないと薬が切れてしまう状態(ウェアリングオフ)や、薬が効きすぎてしまい、
    体がくねくね意図せずに動いてしまう状態(ジスキネジア)といった“運動合併症”が生じることがあります(図1)。

図1 進行期パーキンソン病の有効治療域

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     ウェアリングオフやジスキネジアといった運動合併症に対しては、これまで内服薬の調整や、貼り薬の使用、脳深部刺激療法(DBS)という
    外科的治療法などが治療の選択肢でしたが、2016年の9月から、「レボドパ・カルビドパ配合経腸用液(LCIG; デュオドーパ®)」という新しい
    治療法を本邦でも行うことが可能となりました。これは、図2のように、内視鏡を使用して胃ろうを造設し、空腸までチューブを挿入します。
    そのチューブに体外式のポンプをつなぎ、レボドパ・カルビドパ製剤を持続的に投与するデバイス補助療法の1つです。
    進行期では、運動合併症の治療のために少量のレボドパ製剤を何回にも分けて内服するという方法を選択せざるを得ないのですが、
    内服回数が多いのは大変ですし、それでもどうしても血中濃度の「山」と「谷」ができてしまいます。
    LCIGはポンプを用いて一定速度で薬を投与し続けるので、血中濃度の「山」と「谷」がなくなり、血中濃度を一定に保つことができるため、
    ウェアリングオフ症状を改善させ、ジスキネジアの発現をおさえることができます。

図2 レボドパ・カルビドパ配合経腸用液(LCIG; デュオドーパ®)

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     また、ポンプの重さは約500g程度(ポンプ+薬剤+カセット)で、ウェストポーチで腰に巻いたり、ショルダーバックなど肩にかけたりして
    携帯できますし、お風呂に入るときにはポンプを取り外すこともできます。

     当院では、消化器内科と連携して、2016年10月からこの治療法を取り入れております。海外ではすでに52か国で承認され、現在6,800人以上
    の方がこの治療を受けています。主な合併症には、胃ろうに伴う感染やチューブの挿入に伴うトラブル等があります。当院では、適応の判断を、
    神経内科医、消化器内科医等、多職種の医師が連携して行っており、適応評価のためには1週間程度入院していただいて判断することにしています。

     本治療を検討してみたいという方は、かかりつけの主治医にご相談の上、当科を受診してください。

     *デバイス補助療法 Device-Aided Therapy

     刺激装置や持続注入ポンプなどの機器(デバイス)を治療の補助に用いる治療法をさし、進行期パーキンソン病に対して、本邦では、脳深部刺激療法
    (Deep Brain Stimulation; DBS)やレボドパ・カルビドパ配合経腸用液(LCIG; デュオドーパ®)が、現在使用可能である。